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水の硬度を自動で計算!硬度の意味や計算式の導出方法も解説

水の硬度を自動で計算!硬度の意味や計算式の導出方法も解説

このページには、水の硬度を計算するツールを設置しています。ミネラルウォーターのラベルなどに記載された、カルシウムとマグネシウムの含有量を入力すると、水の硬度を計算可能です。

さらに、水の硬度の意味や計算方法も詳しく解説しています。

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水の硬度計算ツール

水の硬度に関する、2種類の計算ツールを設置しています。

  1. 水の硬度計算ツール(カルシウムとマグネシウム含有量をもとに計算)
  2. アメリカ硬度とドイツ硬度の換算ツール

1. 水の硬度計算ツール

水の硬度を算出し、「軟水・中硬水・硬水・非常な硬水」に分類します。

水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を入力して、「計算する」ボタンを押してください。


単位を変更


ここには計算結果の詳細が表示されます。
数値を入力し、計算ボタンを押してください。

2. アメリカ硬度とドイツ硬度の換算ツール

アメリカ硬度とドイツ硬度を、相互に換算できます。

換算モードを選んで硬度の値を入力し、計算ボタンを押してください。

日本では、主にアメリカ硬度が用いられています。アメリカ硬度はmg/Lやppmを、ドイツ硬度は°dHを単位とする硬度です。本ページで詳しく解説しています。

換算モードを変更

ここに計算結果が表示されます。
数値を入力して、計算ボタンを押してください。

水の硬度の意味・求め方・計算式の導き方

水の硬度は少し複雑な概念です。この章では、硬度の定義や計算式の導き方を、イラストなども使って詳しく解説します。

なお、この章では、日本でも普及している、炭酸カルシウム(CaCO3)に換算するアメリカ硬度について解説します。酸化カルシウム(CaO)に換算するドイツ硬度は次章で紹介します。

水の硬度の定義

水の硬度はカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)の濃度から、以下の計算式で求められます。

硬度 (mg/L) ≒ Ca濃度 (mg/L) × 2.497 + Mg濃度 (mg/L) × 4.118

硬度とは、水1リットルに含まれるカルシウムとマグネシウムの物質量の合計を、等しい物質量の炭酸カルシウム(CaCO3)の質量(mg)に換算して表した指標です。

つまり、水1 L中のカルシウムとマグネシウムイオンの総量を、モル数で数えて、同じモル数の炭酸カルシウムの質量に換算して表したものといえます。

別の表現をすれば、硬度の算出においては、次の2つの仮定がなされているといえるでしょう。

硬度の算出における2つの仮定
  • マグネシウムイオンは、同じ個数のカルシウムイオンに置き換えて考える。
  • 水中のカルシウムイオンは、炭酸カルシウムとして存在すると考える。

続いて、「硬度とはどんな概念なのか」をより分かりやすく、イラストやアニメーションも使って解説します。

硬度の意味を「数式を使わず」イラストで説明

生活用水や飲料水などの水には、様々な種類のイオンが含まれています(イオン性物質の他にも、微量の有機物などが含まれます)。

水中に存在する種々のイオンこうしたイオンのうち、硬度の算出に用いるのは、カルシウムイオン(Ca2+)とマグネシウムイオン(Mg2+)の濃度だけです。

それでは、水中のCa2+とMg2+だけに着目して、下のイラストのように2種類のイオンを含む水があったとします。一つの丸が、1個のイオンを表しています

水1 L中に、このようにCa2+が6個とMg2+が4個が含まれる場合を考えてみます。
カルシウムイオンとマグネシウムイオンを含む水

まず、1つ目の仮定です。マグネシウムイオンは、同数のカルシウムイオンへと置き換えて考えます。

仮定① 例えば、Ca2+が6個、Mg2+が4個ある場合でも、Ca2+が10個と考えます。

次に2つ目の仮定を行います。マグネシウムイオンから置き換えた分も含め、全てのカルシウムイオンが、炭酸イオンCO32-と対になって、炭酸カルシウムとして存在すると考えます

仮定② カルシウムイオンが「炭酸カルシウム(CaCO3)」として存在すると考えます。

そして、水1 Lに含まれる、計算上の炭酸カルシウムの質量が、その水の硬度となります。
水1L中に含まれる仮想の炭酸カルシウムの質量が、硬度の値となる。(単位:mg/L)

このように硬度は、カルシウムとマグネシウムイオンの実際の濃度をもとに、炭酸カルシウムに換算して算出されます。実際にその量の炭酸カルシウムが含まれているわけではないことには、注意が必要です。

水の硬度の計算式を導く

次に、硬度の計算式の導き方を説明します。

硬度 (mg/L) ≒ Ca濃度 (mg/L) × 2.497 + Mg濃度 (mg/L) × 4.118

この硬度の計算式では、水1 L中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの含有量が、同じ物質量(同じモル数)の炭酸カルシウムの質量へと換算されています。

換算を行うには下記の原子量や式量が必要です。計算式中の「2.497」や「4.118」という係数も、これらの値の組み合わせに由来します。

カルシウム(Ca)
40.078
マグネシウム(Mg)
24.305
炭酸カルシウム(CaCO3
100.087

硬度の計算式の導き方を、下図に示します。
水の硬度の計算式の導出

このように、硬度は本来、原子量や式量を代入して計算できます。

ただし、用いる原子量や式量は常に同じです。そこで、「2.497」や「4.118」という係数をあらかじめ算出した計算式が、広く使用されています。

計算式の「2.497」や「4.118」という係数は、「2.5」や「4.1」と書かれている場合もあります。

係数の有効数字について

硬度 (mg/L) = Ca濃度 (mg/L) × 2.5+ Mg濃度 (mg/L) × 4.1

この計算式だと係数の有効数字が2桁であり、精度が低く大まかな計算値しか出せないことに注意が必要です

概算で問題ない場合を除き、「2.497」と「4.118」の係数を用いた方がよいでしょう

なお、厚生労働省の「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」にも、「2.497」と「4.118」の、有効数字4桁の係数を用いた計算式が記載されています。

総硬度 = カルシウム硬度 + マグネシウム硬度

硬度のうち、カルシウム濃度に由来するものを「カルシウム硬度マグネシウム濃度に由来するものを「マグネシウム硬度と呼びます

既述の硬度の計算式は2つの項から成りますが、カルシウム硬度とマグネシウム硬度は下記のとおり、それぞれの項に対応しています。

カルシウム硬度 (mg/L) ≒ Ca濃度 (mg/L) × 2.497

マグネシウム硬度 (mg/L) ≒ Mg濃度 (mg/L) × 4.118

また、カルシウム硬度とマグネシウム硬度を合わせた通常の硬度を「総硬度」や「全硬度」と呼びます。これらの関係を表したのが次式です。

総硬度 (mg/L) = カルシウム硬度 (mg/L) + マグネシウム硬度 (mg/L)

一般に、単に「硬度」と言う場合は、総硬度のことを指しています。

水の硬度の単位「mg/L」と「ppm」は同じ意味

水の硬度(CaCO3換算のアメリカ硬度)の単位はmg/Lですが、ppmで表記される場合も多いです。例えば、100 mg/Lを100ppmとも表しますが、どちらも同じ意味をもちます。

ppmは、parts per millionの略で、日本語では「百万分率」のことです。百分率である%(パーセント)と同じで、割合を表すために用います。1%が百分の一(1/100)を表すように、1ppmは百万分の一(1/1000000)のことです。

濃度が1 mg/Lの水溶液1 L中には、溶質(水に溶けている物質)が1 mg含まれます。1 mgは1/1000 gです。

希薄な水溶液1 Lの質量は、ほぼ1000 gです。水溶液1000 g中に、溶質が1/1000 g溶けていたら、その割合は1/1000×1/1000で、百万分の一となります。つまり、1ppmであると見なせます。

ppmを用いる場合、例えば100ppm (mg/L) のように、ppmと単位を併記する表記法もあります

ドイツ硬度の定義と計算方法

水の硬度の定義は、アメリカ硬度だけではありません。ドイツ硬度は、「°dH」を単位とする表し方で、日本でも昔は主流でした。

ドイツ硬度は、水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの濃度を、CaO(酸化カルシウム)に換算して、10 mg/Lを1 °dHとして定義されます。

次式が、簡略的なドイツ硬度の計算式です。

ドイツ硬度 (°dH) ≒ { Ca濃度 (mg/L) × 1.399 + Mg濃度 (mg/L) × 2.307 } × 1/10
または、
ドイツ硬度 (°dH) ≒ Ca濃度 (mg/100cm3) × 1.399 + Mg濃度 (mg/100cm3) × 2.307

この計算式は、CaOの式量56.077を用いて、アメリカ硬度の場合と似た要領で、下図のように導けます。
ドイツ硬度の計算式の導出

もしくは下図のように、1 Lでなく、100 cm3の水の含有量に着目すれば、より簡略化された計算式にもできます。
ドイツ硬度の簡略的な計算式の導出

アメリカ硬度とドイツ硬度の変換方法

水の硬度は、アメリカ硬度とドイツ硬度の一方が分かれば、もう一方も計算可能です。両者を換算するための計算式(簡略式)を以下に示します。

ドイツ硬度 (°dH) ≒ アメリカ硬度 (mg/L) ÷ 17.85
(または、ドイツ硬度 (°dH) ≒ アメリカ硬度 (mg/L) × 0.05603)

アメリカ硬度 (mg/L) ≒ ドイツ硬度 (°dH) × 17.85
(または、アメリカ硬度 (mg/L) ≒ ドイツ硬度 (°dH) ÷ 0.05603)

計算式から分かるように、アメリカ硬度とドイツ硬度の値の比は、約17.85倍です。アメリカ硬度が17.85 mg/Lの場合に、ドイツ硬度がほぼ1 °dHになります。

これらの計算式の導き方も解説しておきます。

アメリカ硬度とドイツ硬度はどちらも、水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計濃度(物質量/体積)を、適当なカルシウム化合物の濃度(質量/体積)に換算して表現したものです。その意味では、両者は本質的に同じ概念です。

ただし、同じ水の硬度を表す場合でも、両者の値は異なります。下表のように、換算する化合物の種類と、単位が異なるためです。

アメリカ硬度とドイツ硬度の違い
硬度の種類換算する化合物単位
アメリカ硬度炭酸カルシウム
CaCO3
(式量:100.087)
mg/L
ドイツ硬度酸化カルシウム
CaO
(式量:56.077)
°dH
(10 mg/Lを
1 °dHとする)

こうした違いを考慮すれば、2種類の硬度を相互に換算可能です。計算式の導き方を、2枚の図に示します。

アメリカ硬度からドイツ硬度への換算
ドイツ硬度をアメリカ硬度から算出する計算方法
ドイツ硬度からアメリカ硬度への換算
アメリカ硬度をドイツ硬度から算出する計算方法

まとめ・不具合報告フォーム・参考文献

水の硬度は、水に溶けているカルシウムイオンとマグネシウムイオンを合計した、物質量/体積の濃度を表しています。その表し方には主に、アメリカ硬度とドイツ硬度があり、違いは換算する物質や濃度の単位です。

硬度の計算には一般に、簡略的な計算式が用いられますが、その計算式は、原子量や式量を用いれば導けます。

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