料理上達のための科学・食の雑学を紹介

カガクなキッチン

家事の科学

ハイターの成分と漂白のしくみ・原理

2018年10月1日

ハイターが汚れを落とすしくみを知ろう

知っておきたい

ハイターで漂白・汚れを落とす原理は「酸化」による分解

ハイターで「落ちるor落ちない」の見分け方は「生物由来かどうか」

「キッチンハイター」や「ブリーチ」はハイターとほぼ同じ成分

ハイターの危険について知る

 

ご家庭で大活躍の漂白剤「ハイター」。洗濯に掃除に、除菌や消毒に、様々な用途で使えます。

でも、普通の洗剤では落ちない汚れが「キレイに落ちる」のは不思議ですよね?

その秘密は、汚れ成分を「酸化して分解」できる成分にあります。

 

普通の洗剤とは全然違う、ハイターの働き・漂白の原理について解説。

「キッチンハイター」や「ブリーチ」の違い。また、ハイターを使う上で危険なことについても紹介します。

 

ハイターで「何が起こっている」のかイメージできれば、家事もはかどること間違いなしです。

ハイターとは次亜塩素酸ナトリウムが主成分の漂白剤

ハイターの主成分は「次亜塩素酸ナトリウム」。化学式NaOClで表されるシンプルな物質です。

通常売られているハイターの原液では、濃度が5~6パーセントの水溶液です。

次亜塩素酸ナトリウムNaClOの化学式

 

この物質が、汚れを分解して落とす「漂白剤」として働きます。ハイターの独特な臭いの成分でもあります。

また、次亜塩素酸ナトリウムが安定に存在できるアルカリ性を保てるよう、市販のハイターには水酸化ナトリウムが加えられています。

 

そもそも「漂白剤」とは?

漂白剤とは、酸化や還元反応によって、色を持つ化合物(色素)を分解する薬剤。

つまり、洗剤のように洗い流すのではなく、「汚れを分解してしまう」ものが漂白剤と呼ばれる。

 

ハイターによる漂白の原理は「汚れの酸化」

 

ハイターは汚れを酸化する|界面活性剤とは異なる原理

 

次亜塩素酸ナトリウムは「酸化剤」に分類される物質です。

ハイターが汚れを落とす原理は、酸化反応によって汚れを分子レベルで分解することによります。

酸化され分解された汚れは、色や臭いがなくなります。すると、汚れが落ちたように見えます。

また、汚れが分解されると、それ自体が水に溶けやすくなります。

この二つの作用により、多くの汚れを落とすことができるという訳です。

 

一方で、石けんや中性洗剤の有効成分は「界面活性剤」です。

界面活性剤は、水に溶けにくい汚れを包み込み、水に溶けやすくすることで汚れを落とします。

「水に洗い流す」手助け、すなわち洗浄をするだけで、汚れの成分を分解したりはしません。

 

ココがポイント

汚れを「浮かせて落とす」のが石鹸や洗剤!

汚れ自体を酸化分解するのがハイター!

 

この汚れ、ハイターで落ちる?or落ちない?

ハイターも万能ではありません。汚れの種類により相性があります。

酸化されやすい有機物の汚れには効果的ですが、無機物の汚れは落ちないことが多いでしょう。

 

しかし、汚れが有機物か無機物かなんて分かりにくいもの。

そこで、「生き物に由来する」汚れかどうかで判断しましょう。

例外もありますが、たいていの場合は当てはまると思います。

「生物由来の汚れにはハイターが効く」と覚えておきましょう。

ハイターが効果的なもの

有機物の汚れ≓生物由来の汚れ

食べ物の汚れ全般

カビ・ヌメりタイプの水あか(微生物)

服の黄ばみ(ヒト由来)

ハイターが苦手なもの

無機物の汚れ≓無生物の汚れ

鉄さびなど

白いうろこ状の水あか(ミネラル)

服の泥汚れ

 

食べ物由来の汚れは、ほとんどが有機物。タンパク質、脂質、その他植物の色素などが代表的です。

(脂質に関しては酸化よりも、ハイターに入っているアルカリ剤による影響が大きいのですが。)

 

雑菌の繁殖したタイプの水あか・カビも、やはり生物なのでハイターで分解できます。

服の黄ばみ(タンパクや皮脂汚れ)も、もちろんハイターの得意分野です。

血液によるシミなども、色素タンパクを分解して色がなくなります。

 

一方、鉄さびや泥汚れなどは、明らかに生物由来ではありませんね。

水あかの中でも、白いうろこ状のものは、水のミネラル分が固まったものです。こういったものには効きません。

また、エンジンオイルやグリスなどの「オイル」は有機物ですが、ハイターでは落ちにくいでしょう。

(「炭化水素」というただの炭素の鎖みたいなもの。化学反応のとっかかりになる構造が分子にないため、簡単には酸化されません。)

 

ココがポイント

「生物由来」の汚れにはハイターを使え!

 

キッチンハイターとブリーチ、普通のハイターとの違いは?

ハイターやその類似品にはいろいろと種類があります。何が違うのでしょう。

「ハイター・キッチンハイター・ブリーチ・キッチンブリーチ」

これらはどれも次亜塩素酸ナトリウムを主成分としています。ほとんど同じだと考えてよいでしょう。

キッチンハイターの成分は?

「ハイター」が衣料専用として販売されているのに対して、「キッチンハイター」はその名の通り、キッチンでの使用が想定されています。

しかし、中身・成分の違いは基本的にひとつだけ。それは、キッチンハイターに「界面活性剤」が加えられている点です。用途が違うので注意書きも違います。

両製品を販売している花王のウェブサイトで違いが説明されています。

成分の違い、注意書きの違いをまとめると、こういった感じです。

  • キッチンハイター
    界面活性剤が加えられている
  • キッチンハイターの注意書き
    「キッチンにあるもので混ぜてはいけないものがある(生ゴミなど)」
  • ハイター(衣料用)の注意書き
    「長時間のつけ置きで白いシャツが黄色く変色することがある」

ということですね。

自分で洗剤を加えなくても、「汚れを包んで落とす」界面活性剤が混ぜてあり、これ一本で漂白・洗浄の両方ができるのがキッチンハイターです。

では、流用できるのか?

ハイターとキッチンハイターは表示には違いがあるものの、中身の違いは界面活性剤の有無です。

漂白成分、次亜塩素酸ナトリウムの濃度もほぼ同じです。

界面活性剤の有無は、酸化反応には影響しません。ということは、漂白力にも違いはありません。

 

ですから基本的な注意事項を守りさえすれば、どちらか片方で衣料用とキッチン用に共用できるでしょう。

※成分はほとんど同じだということを知った上で、あくまで各自で判断されてください。当サイトでは責任を負いかねますので、あしからず。

 

衣料用ハイターをキッチンで使う時は、「台所用中性洗剤」を混ぜて使うこともできます(この組み合わせは安全です)。

どちらを使うにしても、「塩素系の排水口用ヌメリとり剤・生ゴミ・食酢・アルコールと混ぜない」、「長時間のつけ置きで、服が黄色く変色するかもしれない」ことに気をつけましょう。

メーカー側としては、「両用途で別製品として売りたい&界面活性剤の有無で差別化」といったところでしょうか。

 

「ブリーチ」とハイターの違いは?

「ハイター」とは、花王の商品名です。ほかのメーカーはこの名前を使うことができません。

 

そこで花王以外のメーカーは、同じ成分の漂白剤を「ブリーチ」という名前で売っています。

英語で漂白剤のことを、bleachといいますので、そのままですね。

(ちなみにハイターはドイツ語に由来するネーミングで、元々は「晴れた・澄んだ」という意味の単語です。)

 

そして、ブリーチに界面活性剤を加えると。そう「キッチンブリーチ」になります。

 

ココがポイント

次亜塩素酸ナトリウム水溶液を花王が売ると「ハイター」、他社が売ると「ブリーチ」!

界面活性剤を加えると花王なら「キッチンハイター」、他社なら「キッチンブリーチ」!

 

ハイターの注意点と危険

さて、汚れを分解できて便利なハイターですが、誤った使い方をすると危険性もあります。

使用時は以下の注意点を守ってください。

  • しっかりと換気を行う
  • 混ぜてはいけないものに注意
    酸性のもの(塩酸入りトイレ洗剤、酢、クエン酸など)、ジクロロイソシアヌル酸塩を成分とする塩素系漂白剤(排水溝のヌメり取りなど)
    ほかにも、生ゴミなどと混ぜない方がよい(酸性のものが含まれている可能性があるため)

守らないと有害な塩素ガスが発生することがあり、非常に危険です。ハイター使用時は気をつけましょう。

 

また、酸素系漂白剤について、酸性洗剤と混同されている方がよくいらっしゃいます(しばしばネット上でも)。

酸素系漂白剤とハイターを混ぜても、塩素ガスは発生しません。気体が発生しますが「酸素」です。

花王のウェブサイトにも、塩素系漂白剤と酸素系漂白剤が混ざると、「酸素が発生します」と明記されています。

参考:花王株式会社 製品Q&A 塩素系と酸素系、液体と粉末など、違うタイプの漂白剤が混ざると危険なの?

ですが、両者を混ぜても洗浄力が落ちるので、止めておきましょう。

 

ハイターで綺麗に

まとめ

  • ハイターは次亜塩素酸ナトリウム水溶液のことで、汚れを酸化して分解する。
  • 「生物由来の汚れ」にはハイターが効果的
  • 花王のハイターに界面活性剤を入れるとキッチンハイターに、同じ成分で他社が売るとブリーチに
  • ハイター使用上の注意は厳守すべし

-家事の科学

Copyright© カガクなキッチン , 2020 All Rights Reserved.