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ハイドロハイターは生産終了―代用品は存在しません!

ハイドロハイターは生産終了―代用品は存在しません!

花王のハイドロハイターは、2025年3月31日をもって製造を終了しました

現在、花王では後続となる製品の発売予定はなく、他社からも一般家庭向けの還元型漂白剤は販売されていません。

そのため、ハイドロハイターの代用となる洗浄剤は、実質的に存在しない状況です。

一方で、ネット上では酸素系漂白剤などで代用できるといった、かえってシミを悪化させる可能性のある情報も見受けられます。

この記事では、ハイドロハイターの販売状況と、科学的観点からの代用品の有無について解説します。

ハイドロハイターは生産終了・後続品もなし

ハイドロハイターは、花王が販売していた還元型漂白剤です。

2025年3月31日をもって製造終了となり、花王の公式通販サイトには以下の情報が掲載されています。

製造終了品のお知らせ

本製品の生産は2025/03/31をもって終了し、店頭在庫がなくなり次第、販売を終了させていただきます。長い間ご愛用いただきまして、ありがとうございました。

代わりとなる後続製品の発売も予定されていません。

「ハイドロハイター」は2025年3月31日をもって製造を終了いたしました。

在庫品に限り、花王の公式オンラインショップ『My Kao Mall』にてお求めいただけます。

なお、「ハイドロハイター」の代わりになる還元系漂白剤は、販売を予定しておりません。

長い間ご愛用いただきまして、ありがとうございました。

店舗での在庫がなくなり次第、ハイドロハイターは入手が難しくなります。

※通販状況を確認したい方はこちら
Amazonで「ハイドロハイター」を探す

ハイドロハイターは代用できる漂白剤がない

ご家庭でハイドロハイターの代用となるものは、残念ながら存在しません。

ハイドロハイターは「還元型漂白剤」という特殊なタイプの漂白剤であり、現在、他社から一般家庭向けの還元型漂白剤は販売されていないためです。

代用が難しい「還元型漂白剤」とは?

漂白剤とは、化学反応(酸化か還元)を利用して、汚れやシミの色素を分解する洗浄剤のことです。

ハイターに代表される塩素系漂白剤と、ワイドハイター・過炭酸ナトリウム・オキシクリーンなどに代表される酸素系漂白剤がよく用いられています。

塩素系と酸素系は、どちらも「酸化型漂白剤」に分類されます。汚れを分解する力が比較的強く、皮脂による衣類の黄ばみや食べ物によるシミなどに効果的です。

一方、ハイドロハイターのような還元型漂白剤は、汚れを分解する力は強くありませんが、以下のような特殊な用途に向いています。

還元型漂白剤の主な用途
  • 鉄さびや赤土による着色を落とす。
  • 塩素系漂白剤による樹脂の変色を元に戻す。

酸化と還元は、互いに逆向きの化学反応です。還元型漂白剤であるハイドロハイターも、酸化型漂白剤(塩素系や酸素系)とは対照的な性質を持っています。

このため、還元型漂白剤の効果は、それ以外の漂白剤や洗浄剤では再現できません。

どこかの企業が還元型漂白剤を発売しない限り、代用品の入手は困難です。

ハイドロハイターが必要な汚れを落とすには、今後はクリーニング業者などに依頼をするしかないでしょう。

「◯◯で代用できる」との誤情報に注意!

製造終了となったハイドロハイターについて、ネット上ではさまざまな代用品が紹介されています。

例えば、重曹などのアルカリやクエン酸などの酸、酸素系漂白剤で代用できるとする情報もあります。

しかし、先述のとおり、ハイドロハイターの効果は、還元型漂白剤以外では再現できません。

ここでは、とくに注意すべき誤解をまねく情報を取り上げ、科学的な観点から正しい情報を解説します。

酸素系漂白剤はむしろ逆効果になることも

注意

ハイドロハイターが必要な鉄さびや赤土などの汚れには、酸素系漂白剤を用いてはいけません。

鉄さびや赤土による赤茶色の汚れは、三価の酸化鉄によるものです。

還元型漂白剤を使うと、二価の鉄に還元されて、色が変化するとともに、水溶性が高くなり水で洗い流すことができます。

酸化作用をもつ塩素系や酸素系の漂白剤では、このような化学変化は起こせません。

むしろ、汚れに二価の鉄が含まれていた場合に、酸素系漂白剤により酸化が進み、赤茶色のシミがさらに濃くなってしまうこともあります。


注意

塩素系漂白剤による変色にも、酸素系漂白剤は効果がなく、かえって変色が進行する恐れもあります。

酸素系漂白剤は、塩素系漂白剤と同じ酸化型漂白剤であり、化学的に類似した作用をもっています。

塩素系漂白剤による変色にも、酸素系漂白剤は使えず、むしろ悪化する可能性もあります。

重曹・クエン酸などでの代用は科学的に根拠なし

ハイドロハイターは、「二酸化チオ尿素」という物質の還元作用により、鉄さびや塩素系漂白剤による変色に効果を示します。

ただのアルカリや酸には、こうした還元作用はありません。

「重曹やセスキ炭酸ソーダ、クエン酸などで代用できる」とする情報もありますが、これらには還元作用はなく、化学的には誤った情報といえます。

誤情報に惑わされないよう、慎重な判断を心がけましょう。

まとめ

ハイドロハイターは、家庭用としては貴重な還元型漂白剤でしたが、2025年3月末をもって製造終了となり、代用となる製品も現在は市販されていません。

鉄さびによる汚れや塩素系漂白剤による変色に対しては、ほかの洗剤・洗浄剤では同様の効果を得ることができません。

ネット上では、酸素系漂白剤や重曹・クエン酸などで代用できるとする情報も見受けられますが、化学的には誤った内容であり、かえって汚れが悪化するケースもあります。

どうしても必要な場合は、専門的な知識をもつクリーニング業者への相談も検討してみてください。