キッチン泡ハイターの使い方・注意点・液体との違いを科学的に解説
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キッチン泡ハイターは、つけおきタイプよりも使用時の次亜塩素酸ナトリウム濃度が高く、シリーズ中最強の漂白力をもつ台所用の塩素系漂白剤です。
30秒〜5分と短時間で除菌や漂白ができ、使い方も「スプレーして放置後に流す」だけと手軽です。
一方、使用時の濃度が高いため、注意点を守ることがとりわけ重要になります。
この記事では、特徴と使い方をまとめた後、安全上の注意点と、効果的に使うポイントを詳しく解説します。
塩素系漂白剤は、酸性洗剤などと混ぜると有毒な塩素ガスが発生する恐れがあります(まぜるな危険)。製品ラベルをよく読んでお使いください。日本家庭用洗浄剤工業会の「安全に使うために」も参考になります。
キッチン泡ハイターの特徴・成分・用途
キッチン泡ハイターは、漂白・除菌・消臭が手軽に行える、泡スプレータイプの台所用の塩素系漂白剤です。

キッチン泡ハイターは使用時の次亜塩素酸ナトリウム濃度が高く、キッチンハイターのシリーズ中、花王が「最強漂白力」をアピールしている製品です。
のリニューアルで成分の配合が見直され、現行製品は泡の密着力と持続性が向上しています。
密着する泡スプレーのため、つけおきが難しい箇所や、傾いた面・垂直面への使用にとくに適しています。
つけおきが可能な物であっても、キッチン泡ハイターの方がより手軽に使えるのもメリットです。
ただし、液体のキッチンハイターと比べてやや金銭的なコストが高いことや、一度に大量・長時間の使用をしてはいけないことなどがデメリットとして挙げられます。
キッチン泡ハイターが適するもの
液体キッチンハイターとの違いは使い方と濃度

キッチンハイターは、水で希釈して使う、つけおきタイプの台所用漂白剤です。
キッチン泡ハイターとは、基本的な成分や性質が似ています。
キッチンハイターとキッチン泡ハイターの共通点
「次亜塩素酸ナトリウム」を漂白成分とする塩素系漂白剤で、「界面活性剤」と「水酸化ナトリウム」も含むアルカリ性の水溶液であること。
しかし、両製品には以下のような違いがあります。
- 濃度は漂白成分である「次亜塩素酸ナトリウム」の濃度を示している。
- 「使用時の濃度」や「漂白力」は標準使用時のもの。
- 「使用コスト」は、一定量の次亜塩素酸ナトリウムあたりの価格比較に基づく(詳細は後述)。
とくに重要な違いは、使用時の次亜塩素酸ナトリウム濃度です。
泡スプレータイプの塩素系漂白剤は、安全上の理由から業界基準で、次亜塩素酸ナトリウム濃度が3.0%以下とやや低く制限されています。
それでも、原液を薄めずにスプレーすることから、使用時の次亜塩素酸ナトリウム濃度は、つけおきタイプの数十倍になるのです。
こうした違いから、キッチン泡ハイターは、標準使用時のキッチンハイターよりも強い漂白力を発揮します。
ただし、素材が傷みやすくなるデメリットもあるため、使う素材によっては放置時間にとくに注意が必要です。
キッチン泡ハイターの基本的な使い方
キッチン泡ハイターは、スプレーして、数分放置してから水で流すだけで使えます。
使用中は換気扇や窓の開放で必ず換気をして、炊事用手袋やメガネなどの保護具を着用してください。衣服に付くと脱色するため、エプロンなどの着用もおすすめです。
- スプレーする
対象物から約10cm離し、直接スプレーします。
スプレー時は、目に飛沫が入らないよう注意してください。
使用量の目安は、10cm四方あたりスプレー約5回です。 - 放置する
用途に合った適切な時間(約30秒〜5分)放置します。 - 洗い流す
流水で30秒以上、しっかりと洗い流します。
液が残るとサビや変質の原因になります。
液がかかったシンク周辺も忘れずに洗い流してください。
| 目的 | 対象・条件 | 放置時間 |
|---|---|---|
| 除菌・消臭 |
| 約30秒 |
| 上記以外 (包丁・陶器など) | 約2分 | |
| ウイルス除去 | ふきん以外のもの | 約2分 |
|
| 約5分 |
花王のページでは、キッチン泡ハイターの用途や、使えるものと使えないものについて、以下のように紹介されています。
- 用途
- キッチン用品
など
- まな板
- 包丁
- 食器(茶碗、湯飲み、カップ)
- きゅうす
- 水筒
- タンブラー
- マグカップ
- お弁当箱
- シンク
- 排水口のごみ受け
- 三角コーナー
- 洗い桶
- 水きりカゴ
- ふきん
- 使えるもの
- 白無地のふきん・おしぼり
- プラスチック製品(メラミン除く)
- ステンレス製品
- シリコン製品
- ナイロン製品
- 人工大理石
- 陶器
- ガラス器
- 木・竹製品
- 材質が不明なもの・木製品は変色することがあるので目立たない場所で確認してから使う。
- 使えないもの
- 色物・柄物のせんい製品
- 金属製の容器・用具(ステンレス除く)
- メラミン食器
- 漆器
- 天然石の調理器具・設備
- 獣毛のハケ
- 水洗いできない製品や場所
- 食品
- 塩素系は使えないと表示にあるもの
キッチン泡ハイターは、製品ボトルや公式ページに書かれた注意書きをしっかりと読んでからお使いください。
キッチン泡ハイターを安全に使うための注意点
キッチン泡ハイターは、塩素系漂白剤であることから、使い方を誤るとリスクもあります。
以下に示す安全上の注意点を、順に解説します。
酸性の洗剤や物質と混ぜない【まぜるな危険】
キッチン泡ハイターなどの塩素系漂白剤は、酸性の洗剤や食酢、アルコールなどと混ざると、有害な塩素ガスが発生するおそれがあります(まぜるな危険)。
また、生ゴミにも直接かからないように注意してください。生ゴミには酸性の物質などが含まれることも多いためです。
必ず換気しながら使う
キッチン泡ハイター使用時は、換気扇を回す、窓を開けるなどして、必ずしっかりと換気を行ってください。窓は2か所以上開けると効果的です。
換気は、不快な塩素臭を低減するだけでなく、使用法を誤って有害な塩素ガスの発生事故が起こった場合に、その影響を最小限に抑えるためにも非常に重要です。
なお、花王の製品ページでは、以下の注意事項も記載されているため留意してください。
一度に大量に使わない・長時間使わない
キッチン泡ハイターは、一度に大量に使ったり、続けて長時間使ったりしてはいけません。
これは、「洗浄剤・漂白剤等安全対策協議会の自主基準」で、すべての塩素系のスプレー製品に対する表示ルールとして定められている注意点です。
漂白するものが多い場合は、何回かに分けて漂白するか、液体のつけおきタイプ(キッチンハイター)を使うとよいでしょう。
放置中の誤飲事故に注意する
コップや湯飲みなどの漂白中は、家族(とくに子どもや高齢者)が知らずに口にしてしまう誤飲事故のリスクがあります。
漂白中の食器は必ずシンクの中に置くようにしましょう。「漂白中」とのメモを置くのも効果的です。
なお、キッチン泡ハイターの製品ラベルや製品ページでは、誤飲した場合の応急処置が以下のように記載されています。
- 応急処置
- 飲み込んだ時は、吐かずに、すぐ口をすすぎ、コップ1〜2杯の牛乳か水を飲む等の処置をし、医師に相談する。
目に入らないように注意する
キッチン泡ハイターの漂白液は、強いアルカリ性です。使用時は、必ずメガネなどで目を保護し、漂白液が目に入らないように注意してください。
とくに、目線より高い位置(レンジフードや棚など)には絶対にスプレーしないでください。飛沫が目に入ったりする危険性が高まります。
なお、キッチン泡ハイターの製品ラベルや製品ページでは、目に入った場合の応急処置が以下のように記載されています。
- 応急処置
- 目に入った時は失明のおそれがある。こすらずただちに流水で15分以上洗い流し、痛みや異常がなくても直後に必ず眼科医に受診する。
保管時はスプレーをロックする
使用後は必ずスプレーのロック機構を「止」に合わせてください。
スプレーをロックしておかないと、誤噴射して目に入ったりする危険性が高まります。

スプレー部分が劣化したら使わない
キッチン泡ハイターのスプレー部分が経年劣化すると、スムーズにスプレーできなくなります。劣化したスプレーは危険なため絶対に使用しないでください。

劣化が進むと次のような症状が現れます。
- レバーを伝って液がもれるようになる
- 予期せぬ方向に液が飛ぶ
- 泡になりにくくなる
- 液が出なくなる
- レバーが戻りにくくなる、折れる、外れる
- 先端部が外れる
- スプレー部分がボトルから抜けて外れる
劣化したスプレーを使うと、スプレー時に液が手元に垂れてきたり、思わぬ方向に漂白液が飛び散ったりして、目や皮膚にかかる事故につながる危険性があります。
とくに、何年も前の古い製品や、日光の当たる場所に放置されていた製品は、経年劣化が進んでいることが多いため注意してください。
他の用途で使わない
「キッチン泡ハイター」は台所用の漂白剤です。用途外(風呂やトイレなど)には使用しないでください。
塩素系の漂白剤やカビ取り剤(洗浄剤)は、誤って使用するとリスクが大きいため、製品には用途に応じた注意書きがなされています。
用途外に使用すると、重要な注意点を見落とすなどのリスクが大きくなります。
なお、塩素系製品の用途を分けるルールは、花王独自のものではなく、消費者の安全を守るために定められている業界の自主基準に基づくものです。
もし、キッチン泡ハイターをどうしても他の用途で使わざるを得ない場合は、使用目的に近い製品の使い方や注意書きを必ず確認してください。
例えば、風呂掃除に使う場合は強力カビハイターの製品ページで、トイレ掃除に使う場合は除菌洗浄トイレハイターの製品ページで、使用方法や注意点を事前に確認しておくとリスクを下げられます。
ただし、基本的には用途外で使用せず、なるべく用途に合った製品をお使いください。
各用途の製品は、例として以下のようなリスク要因が考慮されて作られているためです。
- トイレ掃除では、サンポールなどの酸性洗浄剤がよく用いられる。
- 風呂やトイレは狭い個室であり、キッチンよりもさらに換気の重要性が高まる。
- 風呂掃除では、目線より高い位置にスプレーすると目に入りやすく危険である。
- 風呂掃除では、しばしばクエン酸などの酸性洗浄剤が用いられる。
ネット上では、こうしたリスク要因を考慮せずに「キッチン泡ハイターが他の用途にも代用できる」と紹介されがちなため、注意が必要です。
泡ハイターの中身を自作しない
液体のキッチンハイターを薄めてスプレーボトルに入れるなどの、「スプレーの中身の自作」は絶対に行わないでください。
ネット上では、キッチン泡ハイターの中身の自作方法が紹介されることもありますが、使用者を危険にさらす有害な情報です。
キッチン泡ハイターはきれいな泡状になるように設計されていますが、中身を自分で配合すると、霧状になったり液体が飛び散ったりすることがあります。
花王も公式に、自作の危険性を注意喚起しています。
「ハイター」や「キッチンハイター」を薄めた液(=希釈液)をスプレー容器に入れて使うのはおやめください。
スプレーした時に霧状の液を吸い込むことがあり、せき込んだり、呼吸器に異常をきたしたりするおそれがあります。
また、スプレーがこわれやすくなるので、液がたれたり、思わぬ方向に液が噴出したりすることがあり、危険です。目に入ると、失明のおそれもあります。
なるべくコストを抑えたい場合は、「キッチン泡ハイター つけかえ用」を活用するとよいでしょう。
キッチン泡ハイターを効果的に使うためのポイント
この章では、「最強漂白力」のキッチン泡ハイターを、より効果的かつ、素材を傷めずに使うためのポイントを紹介します。
薄めないで使う
キッチン泡ハイターは、液体のつけおきタイプ(キッチンハイター)に比べて、価格が高い一方、より強い漂白力が特徴です。
スプレーして出てくる泡をそのまま作用させることで、最も強い漂白力を発揮します。
泡を水で薄めて使うと、キッチン泡ハイターの強み(最強漂白力)が生かせないうえ、つけおきタイプのキッチンハイターより非常に割高になります。
キッチン泡ハイターは、薄めての使用には向いていません。液体のキッチンハイターと比較して、有効成分(次亜塩素酸ナトリウム)あたりの価格が約3.8倍〜4.8倍も割高になりうるためです。
花王公式通販サイトの販売価格をもとに、有効成分量あたりのコストを、当サイトが独自に試算しました。
| 製品名 | 容量 (mL) | 価格 (円) | 成分 |
|---|---|---|---|
| キッチン (小) | 600 | 242 | 基準 (1倍) |
| キッチン (本体) | 400 | 385 | 約4.77倍 |
| キッチン (つけかえ用) | 400 | 308 | 約3.82倍 |
以上の試算から、水で薄めてつけおきに使うなら、液体のキッチンハイターを使う方が圧倒的に経済的です。
キッチン泡ハイターは、成分そのものの量ではなく、少量の漂白液が狙った場所に留まる「泡」の機能に対してコストを支払っている製品だといえます。
むやみに漂白時間を長くしない
汚れがひどくても、先述した放置時間の目安(用途に応じて約30秒〜5分)を超えて長時間放置するのは避けてください。
キッチン泡ハイターは、つけおきタイプのキッチンハイター(希釈液)に比べて使用時の成分濃度が圧倒的に高く、長時間放置では素材の劣化や変色も起こりやすいためです。
実際に、標準的な使い方では、キッチン泡ハイターの放置時間は、キッチンハイターのつけおき時間よりもずっと短く設定されています。
汚れがひどい場合は、次に説明するように、キッチン泡ハイターの使用前になるべく汚れを落としておくと効果的です。
汚れがひどいものは洗ってから漂白する
汚れがひどいものは、事前に食器用洗剤やブラシなどを使い、なるべく汚れを落としてからキッチン泡ハイターを使いましょう。
食後の食器についた食べ残しや油汚れ、排水口のゴミ受けに溜まった汚れなどが多量にあると、漂白効果が十分に発揮されません。漂白液が対象物の表面にまで届きにくく、漂白成分も汚れと反応して無駄に消費されるためです。
また、汚れに含まれるタンパク質などが塩素系漂白剤と反応すると、不快な塩素臭(クロラミン類などのにおい)が発生する原因にもなります。
ざっと汚れを落としてからキッチン泡ハイターを使うと、漂白効果を落とさずに、不快なニオイも抑えることができます。
古すぎるものは漂白効果が落ちるので使わない
塩素系漂白剤の漂白成分「次亜塩素酸ナトリウム」は、製造直後からゆっくりと分解が進み、濃度が低下していく性質があります。
古すぎるキッチン泡ハイターは、本来の強力な漂白効果が得られない場合があります。
花王も、購入から3年以上経過した古い塩素系漂白剤の使用は勧めていません。
ご購入から3年以上経過した古い製品では、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が著しく低下している場合がありますので、ご使用はおすすめできません。
当サイトとしては、とくに効果的な漂白を行いたい場合、購入後1年以内に使い切ることをおすすめします。
また、窓際などの日光の当たる場所や、高温になる場所で保管すると、分解が速く進んでしまうため注意してください。
木製のまな板や布製品は傷みや変色に注意する
木製品や布製品は、プラスチック製品などに比べるとデリケートで、高濃度のキッチン泡ハイターを使うと傷みや脱色が起きやすい素材です。
これらの素材にキッチン泡ハイターを使う場合は、以下の点に注意してください。
- 長時間放置しない
- 標準の放置時間(除菌なら約2分)で洗い流す。
- 色柄ものの布製品は色落ちしやすい
- 色柄もののふきんなどは、塩素系漂白剤では色落ちしやすい。
(色落ちを承知のうえでなら使用可能。)
傷みが心配な場合は、目立たない場所で試してから使用するか、より使用時の濃度が低い液体のキッチンハイター(標準的な希釈率での使用)をおすすめします。
また、色柄ものの布製品には、「過炭酸ナトリウム」などの粉末タイプの酸素系漂白剤が適しています。
まとめ・よくある質問・脚注・参考文献
キッチン泡ハイターは、使用時の次亜塩素酸ナトリウム濃度が液体つけおきタイプの数十倍あり、手軽ながら強力な漂白力をもつ、便利な台所用漂白剤です。
しかし、その強力さゆえに、使い方を誤るとリスクや素材の傷みも大きくなるため、正しい使い方や注意点を守ることが重要です。
以下のような点に留意して、安全かつ効果的に使用してください。
- 酸性の洗剤や物質と混ぜない。
- 換気と目の保護をしっかりと行う。
- 放置時間を守る。
- 原液で使う。薄めて使うとコストが高くもったいない。
- 危険なため、「中身の自作」や「用途外使用」は避ける。
よくある質問
よくある疑問や質問に回答します。

塩素臭を抑えた「キッチン泡ハイター 無臭性」は、のキッチン泡ハイターのリニューアルと同時に新発売された製品です。
通常のキッチン泡ハイターと無臭性タイプでは、使い方や放置時間は同じで、公開されている成分情報にも違いは一切ありません。
花王の公式ページでは無臭性タイプについて、「台所用漂白剤として十分な性能を持ちながら、各成分の配合を工夫することで塩素臭を低減
」との説明があることから、次亜塩素酸ナトリウム濃度がやや低めに設定されている可能性があります。
また、両製品はスプレー部分の色が異なり(緑/銀)、見分けやすくなっています。
緑のスプレーの「キッチン泡ハイター」は、2024年の改良で泡の持ちや密着力がさらにパワーアップした、「キッチンハイター」内で最強漂白力の商品です。まな板の頑固な着色汚れなど、高い漂白力を求める方におすすめします。
銀のスプレーの「キッチン泡ハイター 無臭性」は、台所用漂白剤として十分な性能を持ちながら、各成分の配合を工夫することで塩素臭を低減し、ニオイ残りが気になる水筒など、口につけるものにも使いやすくなっています。



