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過炭酸ナトリウムの安全な保存方法~おすすめ容器と注意点を紹介

過炭酸ナトリウムの安全な保存方法~おすすめ容器と注意点を紹介

過炭酸ナトリウム(粉末の酸素系漂白剤)は、販売されている容器での保管が基本とされています。しかし、大容量の製品や、簡素な袋入りの製品などは、詰め替えたいこともあります。

詰め替える場合、過炭酸ナトリウムは保管中に気体が発生することがあり、安全な容器選びが重要です。

  • 柔らかいフタが軽くはまるタイプのタッパーや、ジップロックなどのチャック付き保存袋がおすすめ。
  • 強い力で完全密閉された容器(ネジ式・スクリュー式・留め具付きなど)での保存は、破裂する恐れがあり危険。
  • ただし、適切な容器で湿気を遮断して保存すれば、過炭酸ナトリウムの劣化を防げる。
  • 気体が発生しても破裂事故の危険がない、緩く密閉できる容器が適している。
  • 詰め替える際は、必ず乾燥した容器を使用すること。

本記事では、過炭酸ナトリウムの安全な保存方法を解説し、筆者が実際に5年以上使っている容器も紹介します。なお、粉末の酸素系漂白剤にも共通して適用できる内容です。

過炭酸ナトリウムを保存すると危険な容器

過炭酸ナトリウムをネジ式のビンやボトル、留め具がついた容器などで、強く密閉して保存すると危険です。

過炭酸ナトリウムの固体を保管する際、ゆっくりと分解して気体の酸素が発生することがあります。気体の逃げ場がないと、破裂する恐れがあるのです。

ネジ式や留め具のある瓶は危険 ネジ式や留め具で密閉できるガラス瓶はとくに危険です。

ネジ式の密閉できるボトルも危険 ボトル缶やペットボトルも危険です。
また、ボトル缶では、金属が過炭酸ナトリウムと化学反応を起こして、腐食や気体発生の原因となります。

スクリュー式や留め具式のタッパーも危険 タッパーなどの容器も、スクリュー式や留め具式で強く密閉するものは避けた方がよいでしょう。

過炭酸ナトリウムの保存におすすめの容器

過炭酸ナトリウムは、気体が発生する可能性があり、強い力で密閉できる容器で保存すると、破裂してケガをする危険性があります。

一方、もし膨らんでもすぐに口が開くような容器で「緩く密閉」すると、危険性をなくしつつ、湿気と品質低下を防げるメリットがあります。

実際のところ、乾燥した状態で湿気を避けて保存すれば、通常はごくわずかな気体しか発生しません。

そこで、過炭酸ナトリウムの保存には以下のような容器が最適です。

保存容器に必要な条件
  • 湿気を防ぐために外気を遮断できる。
  • もし気体が発生した場合でも、容器の破裂による危険性がない。
  • 本体やフタなどが金属製ではない。
おすすめの容器
  • 柔らかい素材のフタが本体に軽くはまるだけのタッパー
  • ジップロックなどのチャック付き保存袋

柔らかい素材のフタが本体に軽くはまるだけのタッパーや、ジップロックなどのチャック付き保存袋がおすすめ。 柔らかいフタのタッパーやチャック付き保存袋を使えば、安全に湿気を避けて保存できます。

容器を入れ替える際は以下の2点に注意してください。

  • 水気は分解・膨張の原因となるため、乾燥した容器に入れる。
  • 誤使用や誤飲を防ぐため、容器に内容物を明記する。

続いて、各容器について説明します。

タッパー(柔らかい素材のフタのもの)

スクリュー式や留め具式ではなく、柔らかいフタが軽くはまるだけのタッパーなら、過炭酸ナトリウムの保存に使えます。

万が一、気体が発生して膨らんでも、強い力で密閉された容器とは異なり、フタのすき間から気体が逃げてくれます。もっとも、筆者が使用してきた限り、目立ってタッパーが膨らんでいた経験はありません。

筆者は5年以上、このタッパーで過炭酸ナトリウムを保存しています。 筆者が過炭酸ナトリウムの保存に用いているタッパー 深さがあるタッパーを選ぶと使いやすいでしょう。

1 kgの過炭酸ナトリウムを入れたタッパー ちょうど1 kgの過炭酸ナトリウムを入れています。このタッパーの容量は1.2 Lですが、1 kgがギリギリ入る大きさです。

100均などの安価なタッパーでも十分ですが、以下に、筆者の愛用品に近い大きさの商品を紹介します。

ハイパック 保存容器 1220ml S-23 日本製 ナガオ (Nagao)
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チャック付き保存袋

ジップロックなどのチャック付き保存袋も、過炭酸ナトリウムの保存に適しています。

ジップロック フリーザーバッグ M ×18枚 旭化成ホームプロダクツ
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Mサイズのフリーザーバッグに、850 gの過炭酸ナトリウムを入れてみました。 850 gの過炭酸ナトリウムが入ったMサイズのフリーザーバッグ 気体の発生に備え、袋には余裕を持たせた量を入れましょう。

チャック付きでなくとも、口をしっかり縛った丈夫なポリ袋などでも保存可能です。 口をしっかり縛ったポリ袋に保存した過炭酸ナトリウム

過炭酸ナトリウム保存時の注意点を解説

過炭酸ナトリウム保存時の注意点や、知っておきたい知識について解説します。

気体(酸素)が発生するので完全密閉は危険

過炭酸ナトリウムは、固体の状態でもゆっくりと分解し、気体(酸素)が発生して膨張します。

ペットボトルに移し替えて保存し、破裂したケースも報告されています。

ペットボトルが破裂した事故の報告例

場所:洗面所
商品など名称:酸素系漂白剤, プラ容器
事故の概要:ペットボトルに移し替えて保存していた粉末漂白剤が突然破裂した。使用上の注意にも破裂に関する記載はなかった。
受付年月日:2013年08月

事故情報データバンクシステム

とくに、以下のような状況では気体の発生が促進され、密閉による危険性が増します。

  • 容器の内部が水で濡れていた。
  • 容器内の過炭酸ナトリウムに水がかかっていた。
  • 湿度が高い場所に保管されていた過炭酸ナトリウムを容器に詰めた。

なお、過炭酸ナトリウムは使用時(漂白・洗浄時)に、さかんに酸素が発生して発泡します。

水に溶かしたら絶対に密閉してはいけません。また、溶液の保存もできません。

湿気は品質低下を引き起こす

湿度が高い空気中での保存は、過炭酸ナトリウムの分解による品質低下と、気体の発生を引き起こします。

高湿度では、過炭酸ナトリウムが吸湿して少量の水を含んだ状態になり、分解が始まるためです。

少なくとも湿度80%以上では、保存中に大いに分解が進むことが知られています。

過炭酸ナトリウム保存時の安定性と湿度の影響

安定性を検証した研究では、40%・60%・80%の3通りの相対湿度(%RH)と、クラフト紙の封筒・ビンの2種類の容器の組み合わせで、過炭酸ナトリウムを保存する実験が行われました。

すると以下のように、80%の湿度では、3週間後に有効酸素(酸素系漂白剤としての有効成分の残量)が半分以下になっていたケースもありました

過炭酸ソーダ(PC-P)の保存安定性は、40および60%RHに調整した硫酸デシケータ中では非常に良く、18週間後においても有効酸素の低下はほとんどみられない。しかし、80%RHデシケータ中では有効酸素の低下が大きく、特にクラフト封筒中では18週間後に始めの約3分の2になっており、安定性は悪い。

PC-Wの場合はPC-Pよりも有効酸素の経時変化は大きく、80%RHデシケータ中でクラフト封筒中の試料の有効酸素は3週間後に2分の1以下に減じた。

過炭酸ソーダの漂白効果について

ほかの文献では、約75%の湿度で過炭酸ナトリウムの吸湿が進んだことが報告されています

これらのデータから、季節や気象条件、置き場所によっては、空気中の湿気が過炭酸ナトリウムの分解を促進する可能性があります。

通気性のある容器なら安全ですが、高湿度の環境を避けることが重要です。

金属製の容器も適さない

過炭酸ナトリウムの保存には、金属容器は避けましょう。
金属製容器は避ける

多くの金属が、過炭酸ナトリウムと化学反応を起こして腐食します。

ステンレスなら過炭酸ナトリウムに耐性があるものもありますが、ステンレスの種類によります。そのため当サイトでは、ステンレス容器も含め、金属製容器は推奨しません。

直射日光・高温も避ける

過炭酸ナトリウムは、分解しやすい不安定な物質です。日光や高温により、分解が促進され、漂白剤としての効果が低下することがあります。

品質を維持するために、直射日光が当たる窓際や、夏場に温度が上がりやすい場所は避け、涼しく乾燥した場所に保管しましょう。

まとめ・脚注・参考文献

過炭酸ナトリウムは、保存中に気体が発生することがあります。通常は微量の気体しか発生しませんが、水気がかかったり、湿気ていたりすると、多量の気体が発生します。

意図せず多量の気体が発生した場合に備え、決して、破裂すると事故につながるような、強く密閉できる容器で保存してはいけません。

柔らかい素材のフタを本体に軽くはめるタッパーや、チャック付き保存袋などで、安全性を確保しつつ、湿気を避けて保存することができます。