過炭酸ナトリウムをスプレーに入れて使ってはいけません。
密閉容器であるスプレーに入れると、破裂して怪我につながる恐れがあります。また、人体への安全性の観点からも、溶液が霧状になるスプレーでの使用は推奨できません。
この記事では、過炭酸ナトリウムをスプレーに入れて使う危険性について解説し、代替となる方法も紹介します。
過炭酸ナトリウム溶液をスプレーで使う危険性
重曹、セスキ炭酸ソーダ、クエン酸などは、水に溶かしてスプレーする使い方がよく紹介されています。
過炭酸ナトリウムでも、同じようにスプレーで使おうとする人は少なくありません。実際に「過炭酸ナトリウム スプレー 作り方
」といった検索キーワードは、多くの人に検索されています。
しかし、過炭酸ナトリウムをスプレーで使ってはいけません。主な理由は次の2つです。
- 過炭酸ナトリウムをスプレーで使えない理由
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- スプレー容器の内圧が上昇して破裂する恐れがある。
- 過炭酸ナトリウムの溶液が霧状になる使用法は、人体への安全性に懸念がある。
この2つの危険性について、順に詳しく解説します。
危険な理由①気体が発生して破裂する恐れあり
過炭酸ナトリウムは、過酸化水素と炭酸ナトリウムが結びついてできた固体です。水に溶けると、過酸化水素と炭酸ナトリウムが混ざった水溶液になります。この溶液はアルカリ性です。
アルカリ性の溶液中では、過酸化水素は酸素の泡を出しつつ急速に分解します。そのため、過炭酸ナトリウムを水に溶かすと、気体(酸素)を発生しながら分解するのです。
スプレーで過炭酸ナトリウムを使おうとすると、発生する酸素によりスプレー容器の内圧が上昇して危険です。最悪の場合、破裂して怪我などの事故につながる恐れがあります。
危険な理由②スプレーで霧状になると危ない
過炭酸ナトリウムはナチュラルクリーニングで「自然由来」だと主張されることが多く、このことから安全性が高そうなイメージも持たれがちです。
しかし、過炭酸ナトリウムは漂白剤(酸化剤)の一種であり、その意味ではハイターの仲間です。家庭で使う洗剤類のなかでは、十分な注意を要するグループに属する物質といえるでしょう。
漂白剤である過炭酸ナトリウム水溶液を、霧吹きタイプのスプレーで使うことは、人体への安全性に懸念があるため推奨できません。
泡タイプのスプレーであれば霧状になる危険性は減りますが、やはり気体発生によるスプレー破裂の恐れがあるため、推奨できません。
過炭酸ナトリウムはスプレーに不向き……代替法を紹介!
安全性の観点から、過炭酸ナトリウムはスプレーでの使用には向きません。
この章では、「過炭酸ナトリウムをスプレーしようと思っていた」方に向けて、安全性の高い2つの代替法を紹介します。
代替法①カビキラーやキッチン泡ハイターなどで代用する
過炭酸ナトリウムは漂白剤の一種です。カビキラーやキッチン泡ハイターなど、次亜塩素酸ナトリウムを使った漂白剤の泡スプレーが、代替品の筆頭に挙げられます。
色素などの分解に向いており、漂白力の強さは過炭酸ナトリウムに勝ります。
ただし、次亜塩素酸ナトリウムは過炭酸ナトリウムに比べて、色落ちなどを引き起こしやすいことはデメリットです。また、酸との混合も絶対に避けなければいけません。
代替法②過炭酸ナトリウムを使って「つけ置き」する
過炭酸ナトリウムは、正しく使えば安全性が高く便利な漂白剤です。つけ置きができるようなものなら、ぜひ過炭酸ナトリウムを使ってつけ置き洗いをしましょう。
40~50 ℃くらいのお湯に過炭酸ナトリウムをいくらか溶かして、洗いたいものをつけ置きしておきます。汚れの種類や程度により、数分から数時間程度つけ置くと、過酸化水素による漂白効果が得られます。
つけ置きの際は、食器用洗剤か石けんを適量加えておくと、洗浄効果を高める(過炭酸ナトリウムが作用し損ねることを防ぐ)ことができます。
まとめ・参考文献
過炭酸ナトリウムは、溶液をスプレーに入れてはいけません。過炭酸ナトリウムの溶液からは気体が発生し、密閉すると破裂の恐れがあります。
過炭酸ナトリウムはつけ置きで使うのがおすすめです。スプレーで漂白剤を使いたい場合は、カビキラーのような製品がよい選択肢となります。