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ハイター・キッチンブリーチ・カビキラーなどの塩素系漂白剤の違い

ハイター・キッチンブリーチ・カビキラーなどの塩素系漂白剤の違い

ハイターという名前が付く漂白剤は、いずれも花王が商標を持つ製品です。

一方、他社製品では、ブリーチのような一般名称や、カビキラードメストといった独自の商標が使われています。

この記事では、塩素系漂白剤やカビ取り剤について、主な商品名や名称、特徴をまとめました。

あわせて、ハイターとブリーチなど、よく似た塩素系漂白剤の違いも解説します。

塩素系漂白剤の主な商標や一般名称

塩素系漂白剤の代名詞ともいえるハイターは、花王の商標です。また、キッチンハイターカビハイターワイドハイターなど、同社の漂白剤・カビ取り剤のブランド名としても用いられています。

花王以外にも、カビキラードメストなど、独自の商標を採用しているメーカーもあります。

一方、ブリーチは商標ではなく、複数のメーカーの漂白剤に用いられている一般名称です。

また、独自の商標もブリーチも用いず、単に「漂白剤」という表示を用いるメーカーやプライベートブランドも存在します。

「ブリーチ」の名称を用いる主なメーカー
  • ライオン
  • ミツエイ
  • 第一石鹸
  • カネヨ石鹸
  • ホームセンターやドラッグストアなどのプライベートブランド
独自の商標を用いる主なメーカー
  • 花王
    (ハイターなど)
  • ジョンソン
    (カビキラー、パイプユニッシュなど)
  • ユニリーバ
    (ドメストなど)

なお、以下の漂白剤は塩素系ではありません。

  • ワイドハイター・ワイドハイターEX(花王の酸素系漂白剤)
  • カラーブリーチ(酸素系漂白剤に使われる一般名称)
  • オキシクリーン、過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)
  • ハイドロハイター(花王の還元型漂白剤・製造終了)

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塩素系漂白剤の分類と主な製品一覧

各社から販売されている塩素系漂白剤は、衣類用・台所用・カビ取り剤など、用途で分類できます。

この章では、以下の分類ごとに特徴を解説し、主な製品をまとめています。

  1. 衣類用の塩素系漂白剤
  2. 台所用の塩素系漂白剤
  3. 塩素系のカビ取り剤
  4. トイレ用・パイプ用の塩素系漂白剤

この章に関する補足

  • 一覧表中の製品名は、Amazonのページにリンクしています。
  • ブリーチや漂白剤などの一般名称を用いた製品名は、メーカーごとに差異がありますが、説明は省略しています。
  • 洗濯槽クリーナーや、固体のタブレットタイプの塩素系漂白剤は、用途や性質が大きく異なるため、この記事には掲載していません。

衣類用の塩素系漂白剤

衣類用の塩素系漂白剤に、泡スプレータイプは存在しません

希釈して用いる液体タイプのみが売られており、界面活性剤は配合されておらず、洗濯洗剤(中性・アルカリ性)と一緒に使うことが想定された設計です。

衣類用の塩素系漂白剤一覧
製品名画像メーカー特徴
ハイターハイター花王シンプルな配合
ブリーチブリーチ各社
(一般名称)
ハイターと同タイプの製品
比較的リーズナブル
  • 衣類用の塩素系漂白剤は、基本的に白物専用。
  • 酸素系であれば、衣類用の泡スプレータイプの漂白剤も市販されている。
  • 代表例として、ブリーチはカネヨ石鹸の製品を記載。

台所用の塩素系漂白剤

台所用の塩素系漂白剤は、希釈して用いる液体タイプのほか、泡スプレータイプの製品もあります。

液体タイプ(キッチンハイターなど)
  • 希釈して、主につけ置きに使用する。
  • 希釈液で拭き掃除・除菌もできる。
泡スプレー(キッチン泡ハイターなど)
  • 希釈の必要がなく、比較的手軽に使える。
  • 排水口やグラス、白物のふきんなどの漂白に向く。
台所用の塩素系漂白剤一覧
製品名画像メーカータイプ特徴
キッチンハイターキッチンハイター花王液体界面活性剤入り
主につけ置き用
キッチンブリーチキッチンブリーチ各社
(一般名称)
液体キッチンハイターと同タイプの製品
比較的リーズナブル
キッチン泡ハイターキッチン泡ハイター花王泡スプレー泡スプレータイプ
比較的手軽に使える
キッチン泡ブリーチキッチン泡ブリーチ各社
(一般名称)
泡スプレー泡スプレータイプ
キッチン泡ハイターと同タイプの製品
ドメスト ホワイト&クリーンドメスト ホワイト&クリーンユニリーバ液体他製品より用途が広め
原液でも希釈液でも使用可能
  • 代表例として、キッチンブリーチはカネヨ石鹸、キッチン泡ブリーチはミツエイの製品を記載。

塩素系のカビ取り剤

塩素系のカビ取り剤は、泡スプレータイプのほか、ゴムパッキンに密着するジェルタイプの製品もあります。

塩素系のカビ取り剤では、花王のハイターシリーズのほか、ジョンソンのカビキラーも有名です。

泡スプレータイプ
  • 成分の配合は、台所用の泡スプレーの塩素系漂白剤と類似している。
ジェルタイプ
  • ゴムパッキンなどにピンポイントで使う。
  • 密着性が高く、頑固なカビにも効果的。
塩素系のカビ取り剤一覧
製品名画像メーカータイプ特徴
カビキラーカビキラージョンソン泡スプレーカビ取り剤の代表的な製品
ゴムパッキンや排水口などに使える
強力カビハイター強力カビハイター花王泡スプレーカビキラーと同タイプの花王製品
ゴムパッキン用カビキラーゴムパッキン用カビキラージョンソンジェルゴムパッキンなどに密着
するジェル状のカビ取り剤
カビキラーPRO最強ジェルカビキラーPRO最強ジェルジョンソンジェル有効塩素濃度が高い
強力タイプのジェル
強力カビハイター EXパワー カビ用密着ジェル強力カビハイター EXパワー カビ用密着ジェル花王ジェルカビキラーのジェルと
同タイプの製品

トイレ用・パイプ用の塩素系漂白剤

トイレ用やパイプ用の塩素系漂白剤は、こすらずに汚れを落とせるよう、粘度の高いジェル状になっています

また、容器の形状やノズルなども、直接かけて使いやすいように工夫されています。

それ以外の点では、ほかの塩素系漂白剤と比べて、成分などに大きな違いはありません。

トイレ用・パイプ用の塩素系漂白剤一覧
製品名画像メーカー用途特徴
除菌洗浄 トイレハイター除菌洗浄 トイレハイター花王トイレ用ブラシの届きにくい部分にも密着
スクラビングバブル 超強力トイレクリーナースクラビングバブル 超強力トイレクリーナージョンソントイレ用トイレハイターと同タイプの製品
ドメスト 除菌クリーナードメスト 除菌クリーナーユニリーバトイレ用原液使用から希釈液での
拭き取りまで対応
パイプハイター 高粘度ジェルパイプハイター 高粘度ジェル花王パイプ用洗面所・浴室・台所などの
排水口・パイプ用
パイプユニッシュ PROパイプユニッシュ PROジョンソンパイプ用パイプハイターと同タイプの製品

よく似た塩素系漂白剤の違いと使い分け

この章では、よく似た塩素系漂白剤の違いを解説します。

ハイターとキッチンハイターの違いは?

ハイターキッチンハイターの成分上の違いは、界面活性剤が含まれているかどうかです。

ハイター(衣類用)
  • 界面活性剤が含まれていない。
  • 洗濯洗剤(中性・アルカリ性)と一緒に使う。
キッチンハイター
  • 界面活性剤が含まれている。
  • 水で希釈してそのまま用いる。

キッチンハイターは、界面活性剤が含まれているため、水で希釈するだけでつけ置きができます。

一方、衣類用のハイターは、製品ラベルにも書かれているとおり、洗濯洗剤と一緒に使うのが正しい使い方です。

使い方

洗たく機・手洗いで
洗たく用洗剤(中性・アルカリ性)と一緒に使う。(ステンレス槽の洗たく機でも洗たく可)

界面活性剤には、洗う物にしっかりと洗浄液を浸透させ、漂白ムラを防ぐ働きがあります

一方、界面活性剤が含まれない衣類用のハイターは、中性やアルカリ性の洗濯洗剤との併用ではじめて、想定どおりの効果を発揮できます。

ハイターとブリーチの違いは?

ハイターブリーチキッチンハイターキッチンブリーチは、用途や成分に大きな違いはありません

先述のとおり、ハイターやキッチンハイターは、花王が商標を持つ製品です

一方、ブリーチやキッチンブリーチは、商標登録されておらず、誰でも自由に使える一般名称です。ハイターやキッチンハイターに比べて、やや価格が抑えられている傾向があります。

ハイターとブリーチの違い
用途衣類用台所用
花王製品ハイターキッチンハイター
他社製品ブリーチキッチンブリーチ
  • 花王も「花王ハイター」という製品の発売前は、「花王ブリーチ」という製品を販売していた。

キッチンハイターとキッチン泡ハイターの違いは?

キッチン泡ハイターは、希釈用のキッチンハイターに比べ、漂白成分である「次亜塩素酸ナトリウム」の濃度が抑えられています

泡スプレータイプでは、濃度が高いと、安全性を確保しにくく、洗う物が傷みやすくなるためです。

また、キッチン泡ハイターは、泡立ちと密着性をよくするために、界面活性剤の配合が工夫されています。

使い勝手の面でも、以下のような違いがあります。

キッチンハイターとキッチン泡ハイターの違い
製品キッチンハイターキッチン泡ハイター
使い勝手希釈する手順が必要すぐにスプレーできる
漂白できる物つけ置きできる物が中心つけ置きが難しい物にも使える
漂白できる量一度にまとめてつけ置きも可能一度に多量に使うには向かない

なお、キッチン泡ハイター(花王)の特徴は、他社の泡スプレータイプの製品にも共通しています。

キッチン泡ハイターと、カビキラーなどのカビ取り剤の違いは?

泡スプレータイプのカビ取り剤は、泡スプレータイプの台所用の漂白剤と、成分の配合はほぼ同じです。

それでも別の製品として販売されている理由は、安全のために、「『カビ取り』と『漂白』の用途を同じ製品に併記しない」というルールが定められているためです。

業界の自主基準の資料中に、用途の表記に関する基準が記載されています。

用途の表記ルールについて

Ⅳ. 洗浄剤と漂白剤の訴求区分
洗浄剤と漂白剤の住み分けについて
次亜塩素酸ナトリウムなどを主成分とする塩素系製品については、事故の未然防止の観点から、「カビ取り」用途を含むものは一律洗浄剤とし「漂白」用途を訴求および併記しないこととする。
同様に、漂白剤の「カビ取り」用途についても訴求および併記しないこととする。

【住み分け設定の説明】
漂白剤(塩素系)でカビ取りをすることの危険性
希釈して使用する漂白剤は、製品原液の次亜塩素酸ナトリウムなどの濃度が高いため、カビ取り剤と同じように使用された場合、危険性が高くなる。

「洗浄剤」と「漂白剤」の両用途を同時に訴求する危険性
通産省告示第492号(平成元年10月3日告示)を遵守する。
『家庭用品品質表示実務提要』(通商産業省産業政策局消費経済課 編集)の解説のなかで「次亜塩素酸ナトリウム等を主成分とした『カビ取り用』のものについては、これまで洗浄剤、漂白剤のいずれにも分類された商品が販売されており、これを明確にする必要があったので『カビ取り用』のものは、一律洗浄剤として位置づける」旨が明記されている。
『家庭用品品質表示法』で区分されている「洗浄剤」と「漂白剤」の両方の用途を同時に訴求することは、通常使用形態から合理的に推定しうる誤使用の範囲(製造物責任の範囲)を広げ、製品安全の観点から好ましくない。

塩素系製品は使い方を間違えると危険な商品ではあるが、漂白効果・カビ取り効果においては消費者に有益であるため、各々用途を限定した上で正しい使い方を訴求・啓発していくことが、塩素系製品の提供者としての責務と考える。

この用途の表記に関する基準は、法令に基づき策定されていて、事実上の強制力があります。

資料でも紹介されているように、希釈用の塩素系漂白剤の原液(高濃度)をカビ取りに使うと、使用時のリスクが大きくなってしまいます。

もっとも、希釈用のものではなく、泡スプレータイプの塩素系漂白剤であれば、泡スプレータイプのカビ取り剤と、成分や濃度に大きな違いはありません。

しかし、こうしたルールがあるため、1つの製品の用途としては、「漂白」か「カビ取り」の一方しか記載できないのです。

まとめ

塩素系の漂白剤やカビ取り剤は、用途、商標、成分の配合や濃度など、さまざまな違いがあります。

用途と特徴に着目すると、市販の製品はいくつかにグループ分けが可能です。

また、カビ取り剤は、安全性の観点からも、漂白剤とは区別して販売されています。

「塩素系」の製品はどれも、正しく使えば強力な効果が得られます。目的に合った製品を選び、安全に配慮して使用しましょう。